Happy Birthday 85歳!
おじさんのことを 何から語ったらいいんだろう..
馴れ初めは...
かれこれ5年前(そんなもんか 何かもっと前からな気がしてた)
大学を卒業して ふら〜〜っと社会の海に放り出されて
就職というものに失敗して どうすんの自分。どうしたいの自分。
なんて時の運命的な出会い
最初は 珈琲なんて特別好きじゃなかったけど
研究アシスタントで拾ってくれたN先生(one of 人生の恩師)が
愛飲していたのが 凡豆の珈琲で、アシスタントな私は
朝イチと3時に珈琲を点てる役目だった
ちょっと大人の空間で、かなり正体不明なオヤジのいる凡豆へ
豆を買いに行くのは ちょっと楽しみでもあり、
変な緊張感もありだったのを思い出す。
だって こんな人、奈良で見たことないし。
かっこいいハンチングにビロードのベスト、シャツのタータンチェックの赤が
絶妙な差し色になってて...おまけに ご立派な白ヒゲ。
極めつけは カウンターに誰もいなくて 扉の向こうの奥の部屋を
恐る恐る覗いたら 白ヒゲがロッキングチェアに揺られながら寝てるし!!
「耳をすませば」の地球屋が こんなトコにあったと思った
しばし 扉の前に張り付いて モクモク妄想..........
N研で飲んでいた豆は、ブラジルサントスのミディアムローストと
シティローストを500gずつ。N先生はずーっと20年間それなのだ
ほんで 中煎りと深煎りを半々ずつブレンドして飲んでいた。
同じ豆でも 煎り方で香り、酸味、苦味が変わるし、サントスはブレンドの
ベースになる豆なので 今から思えば かなりカシコイ飲み方してたよな、
さすがN先生。と思う。
いつも↑この買い方をするのは ソコの大学の先生んトコや。っていうのが
わかっていたようで、ヒゲのオヤジが 唐突に きみんトコの学生でバイトを
探している子はいないか?と聞く。
わ、わ、わたしでよければ 探してますけど?・・・
まじでーーーーーーーーーー!!
サントスの入った袋をブンブン振りながら 研究室まで帰った。
後日一応 面接なるものがあって、ついに扉の奥の妄想空間へ・・・
足を踏み入れたときの感動と、その時の珈琲の味は忘れられない
かなり社会に対して挙動不審だった あのころの私は
この「おじさん」が果たしてどういう人なのか、ネコを5枚くらいかぶって見ていたのだけど
ほぼ3日で完ぺきに、見事に、剥がれた というか...
ネコをかぶることが無駄だとわかった この人には そんなもの通用しない。
こんな大人が居たんだ
この人は自分を誤魔化さない 自分に対してこんなに正直になれるんや...
なんでこんなにシンプルになれるんやろう
見事に こころの奥の氷が融けてった
戦争、恋愛、人生の栄華、どん底、死別、50数年の珈琲人生
一冊本書けるんちゃうかな
そんな 波乱万丈のすべてが おじさんの 今を 形作ってる。
ずーっと凡豆を見てきた常連さんたち、その殆どは おじさんに会いに来ている。
おっきな樹と似ている、と思う。
ずっと変わらずそこに居て、ずっと変わらず豆を煎ってる
変わりすぎる世の中で、一つを貫いて根をはってる凡豆に、何かしら
あこがれと、安心感と、自分の希望をみつけに。
勿論 毎日テイスティングして研究を重ねる豆の味があってこそなんだけれど
どんなに勇気をもらったかな
どんなにたくさんのことを教えてもらったかな
おじさんには 単なるありがとうでは言いきれないよ
また一年 よろしゅうおたのも。
明日は小五郎Songでお祝いしよう♪